研究概要 |
平成21年度は初代培養ミクログリアを用い、細胞突起進展時のミクログリア活性化因子の局在変化の可視化のためにGPIアンカー型蛍光タンパク質(GFP-GPI)、細胞膜に均一に配向する蛍光タンパク質(PM-GFP)をコードするプラスミドベクターを構築し、現在知られている唯一の初代培養ミクログリアへ高効率遺伝子導入系であるレンチウイルスベクターを作製した。また数種のATP受容体(P2X4, P2Y6, P2Y12)についても蛍光タンパク質との融合受容体タンパク質を発現するベクターを作成し、レンチウイルスベクターによってこれら機能タンパク質を初代培養ミクログリアに高発現させる系を確立した。これと同時にミクログリア特異的な外来遺伝子発現系を構築するためにIba1遺伝子上流配列をプロモータとして用いたところ、ラットグリア細胞の共培養系でミクログリア特異的に蛍光タンパク質を発現させることに成功した。これによって生体組織内でミクログリア特異的に遺伝子導入するための基本的なツールを開発したことになる。平成22年度では、前年度の研究成果を踏まえ、より生体内環境に近い海馬組織培養切片を用いた実験系へと展開し、生体脳でのミクログリアの細胞外環境異常感知機構とそれに伴う活性化についての理解を広げたいと考えている。
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