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2010 年度 実績報告書

P2Y12受容体を介した突起進展によるミクログリア活性化シグナル複合体形成の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21790080
研究機関九州大学

研究代表者

齊藤 秀俊  九州大学, 薬学研究院, 助教 (90444794)

キーワードミクログリア / 神経科学 / ATP受容体 / イメージング / 脂質ラフト
研究概要

ミクログリア特異的発現を示すプローブ開発の手段としてIba1遺伝子上流配列をプロモータを利用し、ミクログリア特異的に蛍光タンパク質を発現させるためのウイルスベクターを構築した。このベクターを用いて脳組織細胞の混合初代培養系に遺伝子導入を試みたところ、ミクログリアの他のマーカー遺伝子であるCDllb陽性細胞優先的に蛍光タンパク質の発現が見られた。また、蛍光タンパク質以外にも、部位特異的に遺伝子発現制御する遺伝子改変動物で頻繁に用いられているcre-loxpシステムに注目し、Iba1遺伝子上流配列をプロモーターとしてcre組み換え酵素を発現するベクターを構築した。このベクターをEGFPレポーターマウスの脳から得られた培養組織切片に微量注入したところ、培養6日後からEGFP陽性細胞が観察されることを見出した。つまり、今回開発したベクターを使うことにより生体に極めて近い組織培養という条件においてもミクログリア特異的な遺伝子発現制御技術を得ることができる。
一方で、P2Y12受容体の活性化とミクログリアの活性化様式との関連性について、炎症関連物質であるCCL2、CCL3、TNFαの産生・放出を解析したところ、初代培養ミクログリアにおいてCCL2、CCL3の産生・放出がP2Y12受容体の活性化によって誘導されることを見出した。また、新規合成に依存しないTNFαの細胞外放出がP2Y12受容体アゴニストで惹起されることを見出した。これまでにミクログリアからの炎症性物質の産生・放出には高濃度の細胞外ATPによるP2X7受容体の活性化が必要であるという認識が一般的であったが、ATPの分解産物であるADPをアゴニストとし、より低濃度で活性化されるP2Y12受容体によってもミクログリアの炎症性応答が見られることを明らかにした。この発見は激しいATP漏出・放出を伴わないような組織傷害時にも、P2Y12受容体を介したミクログリアの炎症性応答が引き起こされる可能性を示しており、P2Y12受容体を標的とした創薬の可能性を明確に示すものである。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] JAK-STAT3 pathway regulates spinal astrocyte proliferation and neuropathic pain maintenance in rats.2011

    • 著者名/発表者名
      Tsuda M, (他10名)
    • 雑誌名

      Brain

      巻: (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neuronal CCL21 up-regulates microglia P2X4 expression and initiates neuropathic pain development.2011

    • 著者名/発表者名
      Biber K, (他7名)
    • 雑誌名

      EMBO Journal

      巻: (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] P2X7 receptor activation induces CXCL2 production in microglia through NFAT and PKC/MAPK pathways.2010

    • 著者名/発表者名
      Shiratori M, (他4名)
    • 雑誌名

      Journal of Neurochemistry

      巻: 114 ページ: 810-819

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pain and purinergic signaling.2010

    • 著者名/発表者名
      Tsuda M, (他2名)
    • 雑誌名

      Brain research reviews

      巻: 63 ページ: 222-232

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nerve injury-activated microglia engulf myelinated axons in a P2Y12 signaling-dependent manner in the dorsal horn.2010

    • 著者名/発表者名
      Maeda M, (他4名)
    • 雑誌名

      Glia

      巻: 58 ページ: 1838-1846

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Purinergic regulation of microglia2010

    • 著者名/発表者名
      齊藤秀俊, (他2名)
    • 雑誌名

      日本薬理学雑誌

      巻: 136 ページ: 93-97

    • 査読あり
  • [学会発表] P2Y12 receptors in spinal microglia are required for neuropathic pain after peripheral nerve injury2011

    • 著者名/発表者名
      齊藤秀俊, (他4名)
    • 学会等名
      第84回日本薬理学会
    • 発表場所
      (誌上開催)
    • 年月日
      2011-03-22
  • [備考]

    • URL

      http://yakkou.phar.kyushu-u.ac.jp/Publication.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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