研究概要 |
申請者は,ケモカイン受容体CCR2bとその新規細胞内結合因子FROUNTの相互作用について,核磁気共鳴法(NMR)を用いた解析を行ってきた。その結果,CCR2b上のFROUNT結合部位を同定した(未発表)。既知のGタンパク質共役受容体の立体構造を用いた解析から,CCR2b上のFROUNT結合部位は,通常はマスクされた状態であると考えられた。外部からのシグナルにより,CCR2bが立体構造変化を起こして結合部位が露出し,FROUNTが結合すると考えられる。 本研究は,溶液NMR法を用いることにより,CCR2bの立体構造変化を明らかにすることを目的とする。得られた知見を,Gタンパク質共役受容体をターゲットとする創薬に活用する。 本年度は,全長の細胞内結合因子FROUNTについて,大腸菌を用いた発現系と精製系を構築し,立体構造解析を行うのに十分な量の組み換えタンパク質を得ることができた(Esaki K, et al. (2011))。また,この全長FROUNTがCCR2b結合活性をもつことを,溶液NMR法および表面プラズモン共鳴法を用いて明らかにした。さらに,全長の受容体CCR2bについて,昆虫細胞を用いた発現系と精製系を構築した。 今後.本研究において得られた試料に対して溶液NMR法を適用し,CCR2bの立体構造変化を明らかとし,創薬に展開してゆく。
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