研究課題
近年、よりヒトに近い病態モデルが開発されることを通じて、多様な疾患においてマスト細胞が免疫応答のモジュレーターとしてはたらく可能性が示されている。本研究では、申請者が最近確立した成熟マスト細胞を模倣する培養系を活用して、従来解析が難しかった細胞レベルでの成熟マスト細胞の機能解明を行う。具体的には、1.移植組織に対する免疫寛容の成立にマスト細胞が寄与するメカニズム、および、2.非IgE刺激による成熟マスト細胞の活性化機構を明らかにすることを目的とする。1. 組織結合型培養マスト細胞に関する解析申請者は骨髄細胞をIL-3存在下、1ヶ月間培養して得られるマスト細胞(BMMC)を、さらにSCF存在下、線維芽細胞と共培養するという方法で、皮膚組織のマスト細胞に近い培養モデルを確立している。フィーダーである線維芽細胞に遺伝子導入、あるいはRNAiの手法により発現を抑制することにより、組織結合型培養マスト細胞を大量に得る手法を開発した。2. 皮膚マスト細胞の発現遺伝子の解析移植実験の準備段階として、皮膚組織マスト細胞、あるいは皮膚に移植されたマスト細胞の発現遺伝子を解析した。3. IL-17によるマスト細胞の活性化の解析マスト細胞の成熟に伴うIL-17受容体の発現亢進をタンパク質レベルで確認した。4. 非IgE刺激による成熟マスト細胞の活性化機構Gi依存性脱顆粒を引き起こすことが知られるcompound 48/80を用いて、刺激により細胞外からのCaイオンの流入が起こること、また細胞内チロシンリン酸化が起こることを確認し、抗原抗体反応との比較を行った。
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http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~tanaka-s/