研究課題
本研究では、申請者が近年確立した成熟マスト細胞を模倣する培養系を活用して、従来解析が困難であった組織に分布するマスト細胞のモジュレーターとしての機能を解明することを目標としている。近年、マスト細胞が制御性T細胞のエフェクターとして機能することが明らかにされたが、一方で制御性T細胞によるマスト細胞機能の抑制や、マスト細胞による制御性T細胞機能の抑制といった報告も相次いでおり、マスト細胞の分布組織によるヘテロ性に着目することの重要性が高まってきた。そこで、既に確立しているマウス骨髄由来培養マスト細胞と線維芽細胞の共培養モデルにおける分化に伴う変化に着目し、以下の新たな知見を得た。・IgEを介する抗原抗体反応による脱顆粒は、マスト細胞の成熟によりその応答性が有意に低下する。成熟過程ではFcγRIIbやCD33といった抑制性受容体、あるいはRabGEF1といった、抗原刺激によるシグナル伝達の抑制因子の遺伝子発現が亢進していた。・マスト細胞の成熟によりTNF-α、IL-6、MCP-1といったサイトカイン産生能に大きな変化が生じることを見いだした。thapsigargin処理により産生されるサイトカインレベルには大きな違いは認められないが、抗原刺激によるサイトカイン産生はほぼ起こらなくなることが明らかとなった。以上の結果から、マスト細胞の環境に応じた成熟に伴い、そのエフェクター機能が劇的に変化することが明らかとなった。これは、制御性T細胞とマスト細胞の相互作用の多様性を理解する上で、重要な観点と考えられる。
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