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2010 年度 実績報告書

免疫応答のモジュレーターとしての成熟マスト細胞

研究課題

研究課題/領域番号 21790100
研究機関岡山大学

研究代表者

田中 智之  岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40303846)

キーワードマスト細胞 / 線維芽細胞 / 抗原抗体反応 / 細胞分化 / サイトカイン / 脱顆粒
研究概要

本研究では、申請者が近年確立した成熟マスト細胞を模倣する培養系を活用して、従来解析が困難であった組織に分布するマスト細胞のモジュレーターとしての機能を解明することを目標としている。近年、マスト細胞が制御性T細胞のエフェクターとして機能することが明らかにされたが、一方で制御性T細胞によるマスト細胞機能の抑制や、マスト細胞による制御性T細胞機能の抑制といった報告も相次いでおり、マスト細胞の分布組織によるヘテロ性に着目することの重要性が高まってきた。そこで、既に確立しているマウス骨髄由来培養マスト細胞と線維芽細胞の共培養モデルにおける分化に伴う変化に着目し、以下の新たな知見を得た。
・IgEを介する抗原抗体反応による脱顆粒は、マスト細胞の成熟によりその応答性が有意に低下する。成熟過程ではFcγRIIbやCD33といった抑制性受容体、あるいはRabGEF1といった、抗原刺激によるシグナル伝達の抑制因子の遺伝子発現が亢進していた。
・マスト細胞の成熟によりTNF-α、IL-6、MCP-1といったサイトカイン産生能に大きな変化が生じることを見いだした。thapsigargin処理により産生されるサイトカインレベルには大きな違いは認められないが、抗原刺激によるサイトカイン産生はほぼ起こらなくなることが明らかとなった。
以上の結果から、マスト細胞の環境に応じた成熟に伴い、そのエフェクター機能が劇的に変化することが明らかとなった。これは、制御性T細胞とマスト細胞の相互作用の多様性を理解する上で、重要な観点と考えられる。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Crucial role for autophagy in degranulation of mast cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Ushio, H., Ueno, T., Kojima, Y., Komaou, M., Tanaka, S., Yamamoto, A., Ichimura, Y., Eraki, J., Nishida, K., Komarawa-Sakon, S., Niyouaba, F., Ishi, T., Yanagawa, T., Komoami, E., Ogawa, H., Okamara, K., Nakano, H.
    • 雑誌名

      J.Allergy Clin.Immunol.

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] マスト細胞研究の新たな展開2011

    • 著者名/発表者名
      田中智之、西田圭吾
    • 雑誌名

      薬学雑誌

      巻: 131 ページ: 59-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 皮膚型マスト細胞モデルの確立とその解析2011

    • 著者名/発表者名
      田中智之
    • 雑誌名

      薬学雑誌

      巻: 131 ページ: 63-71

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhancement of IgM production in B cells by the extract of red bell pepper.2010

    • 著者名/発表者名
      Goto, T., Sarker, M.M.R., Zhong, M., Tanaka, S., Gohda, E.
    • 雑誌名

      J.Health Sci.

      巻: 56 ページ: 304-309

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular Biology of Histidine Decarboxylase and Prostaglandin Receptors.2010

    • 著者名/発表者名
      Ichikawa, A, Sugimoto, Y., Tanaka S.
    • 雑誌名

      Proc.Jpn.Acad.Ser.B

      巻: 86 ページ: 848-866

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Targeting CD44 in mast cell regulation.2010

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, S.
    • 雑誌名

      Expert Opin.Ther.Targets

      巻: 14 ページ: 31-43

    • 査読あり
  • [雑誌論文] マスト細胞の分化に伴う機能制御2010

    • 著者名/発表者名
      田中智之
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 82 ページ: 1021-1031

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗原刺激による脱顆粒レベルのIgEによる制御2010

    • 著者名/発表者名
      田中智之、栗宗由樹、阪中麻利子、夏原麻由子
    • 学会等名
      第83回日本生化学会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2010-12-10
  • [学会発表] Establishment of a model culture system for cutaneous mast cells2010

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, S.
    • 学会等名
      2010 XIII PHRS(第13回ポーランドヒスタミン研究会)
    • 発表場所
      ウッチ(ポーランド)
    • 年月日
      2010-10-23
  • [学会発表] CD44-mediated proliferation of mast cells2010

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, S.
    • 学会等名
      Hyaluronan 2010(第8回国際ヒアルロン酸学会)
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      2010-06-06
  • [学会発表] マスト細胞の分化過程におけるCD44を介した増殖応答2010

    • 著者名/発表者名
      田中智之、合田榮一
    • 学会等名
      日本組織培養学会第83回大会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      2010-05-20
  • [図書] Biomedical Aspects of Histamine : Current Perspectives (ed.Khardori, N., Shahid, M., Khan, RA, and Tripathi, T)2010

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, S., Ichikawa, A, et al.
    • 総ページ数
      350
    • 出版者
      Springer
  • [備考]

    • URL

      http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~tanaka-s/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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