研究課題
本研究は、核内受容体のリガンドとコアクチベーターの結合を同時に阻害する、核内受容体の多次元同時阻害薬の創出を目指すものであった。初年度の計画として、(1)内因性リガンド骨格から脱却した核内受容体拮抗薬と、(2)核内受容体に対する非ペプチド性コアクチベーター結合阻害薬の創製、の2つの課題に取り組んだ。(1)に関しては、ビタミンD作用と抗アンドロゲン作用の両方を併せ持つ非ステロイド型化合物を起点とし、非ステロイド骨格を有する選択的抗アンドロゲンを創出した。化合物デザインにおいては、ビタミンD受容体とアンドロゲン受容体のX線結晶構造と、作動活性・拮抗作用発現の分子基盤を参考にした。この抗アンドロゲンは、臨床で用いられているビカルタミドと同等の抗アンドロゲン活性を示した。本成果については、論文を投稿すべく準備をしている。(2)に関しては、核内受容体の1種ビタミンD受容体とコアクチベーター由来ペプチドの複合体X線結晶構造を参考にして、コアクチベーターのファーマコフォアが占める空間配置を模倣するペプチド等価体をデザインした。デザイン化合物を合成・評価したところ、これらの化合物は期待通りビタミンD受容体とコアクチベーターの結合を阻害していることが示唆された。また、細胞評価系でもビタミンD容体の転写活性を抑制することが明らかになった。報告者の知る限り、これは初めての非ペプチド性のビタミンD受容体-コアクチベーター結合阻害化合物である。今年、本成果を論文発表した。
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Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 20
ページ: 1712-1717