高脂血症や高ステロール血症は動脈硬化をもたらす最大の危機因子であり、その発症には生活習慣が深く関わる生活習慣病である。動脈硬化の進展にはサイトカインが大きく関与していることから、サイトカイン産生を抑制することで動脈硬化の予防につながるものと考えられる。そこで本研究ではサイトカイン産生に働く核内転写因子NF-κBをターゲットとし、新規に相互作用する核内転写調節因子の探索を行ったのちに、その相互作用阻害剤をケミカルバイオロジーの手法を用いた創薬研究を行うものである。 1NF-κBと結合する核内:DNA-PK NF-κBp65の転写活性化領域TA1とGSTの融合蛋白質を用いてこれと結合する蛋白質をHeLa核抽出液より分離・精製し、SDS-PAGEにて得られたバンドをMSにて解析した結果、DNA-PKであった。次にIn VitroでDNA-PKを合成し、NF-κBp65TA1領域との結合をプルダウンアッセイを行い、これらの結合を確認する作業を行っている。これまでにNF-κBp65は、DNA-PKの活性サブユニット(cs)のみでは結合がほとんどみられないことが明らかとなっている。これには、残りのサブユニット(Ku)が必要であると予想される。 ii.化学合成ペプチドプローブ(ポリプロリンロッド) NF-κBp65の転写活性化領域TA1およびTA2と結合するタンパク質をHeLa核抽出液より抽出するためのTA1およびTA2ペプチドプローブ(及びネガティブコントロールとなるアラニン置換ペプチド)を化学合成し、このペプチドをビーズに結合したプローブを作成した。このプローブとの結合が見られるタンパク質の同定を行っている
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