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2010 年度 実績報告書

酸化ストレスを惹起するキノン系化合物の人体曝露評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21790126
研究機関金沢大学

研究代表者

鳥羽 陽  金沢大学, 薬学系, 准教授 (50313680)

キーワードバイオマーカー / 酸化ストレス / 有害化学物質 / 大気汚染 / 曝露評価
研究概要

循環器疾患(動脈硬化など)やアレルギー性疾患(喘息など)の悪化に寄与する可能性が示唆され、ディーゼル排ガス等の人為燃焼発生源に由来する浮遊粒子状物質に含まれる、酸化ストレスを惹起する環境汚染物質であるキノン系化合物の人体曝露量を評価するための生体指標(バイオマーカー)を開発することを目的として研究を実施した。
キノン系化合物の中で、ディーゼル排出粒子中の主要成分の一つである9,10-phenanthrenequinone(PQ)に着目し、PQの曝露量を評価するバイオマーカーとして、PQのヒト尿中代謝物であると推定される9,10-dihydroxyphenanthreneのグルクロン酸抱合体または硫酸抱合体の分析法を昨年度開発し、ヒト尿中にPQ代謝物が排泄されていることをはじめて明らかとした。しかしながら、代謝物を脱抱合した際に自動酸化によって得られるPQを分析対象化合物としており、抱合体を直接検出していなかった。そこで、木年度はPQグルクロン酸抱合体(PQHG)を直接検出できるLC-MS/MS法による分析法を開発した。イオン交換能を持つ逆相系固相抽出を利用した尿試料の前処理法を開発し、また質最分析法での検出ではグルクロン酸部位で効率的にプロダクトイオンが生成するため、極めて高感度な検出が達成された。開発した分析法をPQ投与ラットの尿試料に適用したところ、PQHGを同定することに成功し、グルクロン酸抱合体が主要な代謝物であることが判明した。さらに、ヒト尿中からもPQHGをはじめて同定できたことから、PQが代謝されて抱合体として尿中に排泄されていることが確実となった。尿中PQ代謝物は、酸化ストレス評価のバイオマーカー候補となりうると結論付けた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Atmospheric Formation of Hydroxynitropyrenes from a Pilotochemical Reaction of Particle-Associated 1-Nitropyrene2011

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Kameda
    • 雑誌名

      Environ.Sci.Technol.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本および中国における大気粒子中多環芳香族炭化水素キノンの観測-濃度レベルの把握と発生要因の検討-2011

    • 著者名/発表者名
      片山裕規
    • 雑誌名

      大気環境学会誌

      巻: 46(1) ページ: 20-29

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中国・北京及び日本・金沢の大気が示すAhR活性化作用へのPAH類及びダイオキシン類の寄与2011

    • 著者名/発表者名
      戸次加奈江
    • 雑誌名

      環境化学

      巻: 21(1) ページ: 27-33

    • 査読あり
  • [学会発表] 活性酸素を生成する9,10-phenanthrenequinoneの尿中代謝物の同定と定量2011

    • 著者名/発表者名
      旭美樹
    • 学会等名
      日本薬学会第131年会
    • 発表場所
      (東日本大震災のため誌上開催)
    • 年月日
      2011-03-30
  • [学会発表] ディーゼル排ガス曝露指標を指向したヒト尿中1-ニトロピレン代謝物の測定2011

    • 著者名/発表者名
      鳥羽陽
    • 学会等名
      日本薬学会第131年会
    • 発表場所
      (東日本大震災のため誌上開催)
    • 年月日
      2011-03-30
  • [学会発表] メトキシフェノール類をバイオマーカーとした木材燃焼煙の曝露評価2010

    • 著者名/発表者名
      鳥羽陽
    • 学会等名
      フォーラム2010:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      星薬科大学(東京都)
    • 年月日
      2010-09-09
  • [学会発表] 親水和相互作用クロマトグラフィー/タンデム質量分析法による尿中8-hydroxy-2'-deoxyguanosineの分析2010

    • 著者名/発表者名
      細住智恵美
    • 学会等名
      フォーラム2010:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      星薬科大学(東京都)
    • 年月日
      2010-09-09

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公開日: 2012-07-19  

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