近年、小児アレルギー罹患者数が増加しており、原因として食生活や住環境の変化の他、妊娠中の母親の生活環境も原因の一つとして考えられているが詳細は不明である。胎児期の大気中の微粒子(CAPs)の曝露が出生児の低体重や雄性生殖機能への影響が示唆されているが免疫系への影響は不明である。そこで本研究では、CAPsを妊娠マウスに投与し、出生仔の免疫系に与える影響を検討した。ICR系妊娠マウス40匹を用い、CAPs(200μg/匹)を妊娠7日目と14日目に気管内投与した。妊娠18~19日目に出生した仔マウスを実験に用い、5、10、15および30週齢における仔マウスの免疫系への影響を検討した。なお、15週および30週齢における免疫系への影響は、9週あるいは24週から2週間に1度OVA(200μg/匹)を4回気管内投与し、最終曝露の翌日に解剖した。検討項目は、気管支・肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数、肺の組織像である。胎仔期にCAPsの曝露を受けた出生仔(CAPs群:5週齢、30週齢)のBALF中の総細胞数は対照群と比較してそれぞれ2.0倍、2.4倍、有意に増加した。また、胎仔期にCAPs曝露を受けた出生仔にOVAを曝露させると総細胞数は、OVAのみの曝露したマウスと比較して15週齢で有意に増加した。また、BALF中の各炎症細胞数を検討したところ、マクロファージ数、好酸球数等の増加が認められた。免疫系を担当するマクロファージや好酸球数が変動したことから、CAPsの胎仔期暴露が出生仔の免疫系に影響を与える可能性が示唆された。
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