研究概要 |
本研究はDNAメチル化変異、薬剤代謝酵素の遺伝子多型を調査し、癌治療の効果と副作用、生命予後との相関を明らかにすることが目的である。連携研究者の渡邊らの提案により、対象患者に胃癌患者も含め内視鏡治療前後でのメチル化解析も行うこととした。 平成22年度に行った研究の具体的内容とその意義、重要性 (1)化学療法患者サンプル採取:現在までに胃癌、大腸癌の患者からの血液サンプルを計57名分収集している。最終的に100名のサンプル採取を目標にしている。OxaliplatinやIrinotecanの代謝酵素であるGSTP1,ERCC1,2,XRCC1,ATM,TOP1,TDP1,GSTP1などのSNP解析の準備を始めており、次年度より結果を出せる予定である。 (2)ゲノムワイドメチル化解析:内視鏡治療前後の胃洗浄廃液には胃細胞が残存しており、内視鏡治療の洗浄液を回収することで、高感度のメチル化解析を行うことができる。今回、この洗浄廃液を用いてH/H-MCAMicroarray解析を行ったところ、腫瘍特異的なメチル化異常として「MINT25」および「SOX17」遺伝子の同定に成功した。内視鏡治療による断端陽性症例では術後においてもこれら遺伝子は高メチル化を維持しており、追加開腹切除における病理組織にて遺残癌の確認がなされ、胃洗浄廃液による治療後遺残診断が可能な可能性が確認できた。今後、臨床応用を目指し、多施設共同で前向き臨床試験を予定している。
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