研究概要 |
本研究は(1)胃・大腸癌で化学療法を受けた患者の薬剤代謝酵素の遺伝子多型(SMP)を調査し、癌治療の効果と副作用、生命予後との相関を明らかにすること、(2)早期胃癌患者の胃洗浄排液から胃上皮細胞を収集し、内視鏡治療前後でのDNAメチル化変異の解析も行うことで、遺残再発、異時再発のマーカーとしての臨床応用を目指す、ことが目的である。 平成23年度に行った研究の具体的内容とその意義、重要性 (1)化学療法患者サンプル採取:現在までに胃癌29例、大腸癌67名の計96名分のサンプルを収集した。次年度中に目標100名にほぼ到達可能の見込みである。近年、大腸癌に用いられるようになってきたEGFR抗体薬(Cetuximab,Panitumumab)の代謝に関連する、EGF5'-UTR,FcγRIIaなどのSNP解析の準備も始めており、近々解析を開始する予定である。 (2)ゲノムワイドメチル化解析:胃洗浄廃液を用いH/H-MCAMicroarray解析を行ったところ、腫瘍特異的なメチル化異常として「MINT25」および「SOX17」遺伝子の同定に成功し、各種学会においてその成果を発表するとともに、論文化した。将来の臨床応用をめざし、多施設共同で前向き臨床試験が開始されている。
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