本研究は①胃・大腸癌で化学療法を受けた患者の薬剤代謝酵素の遺伝子多型(SNP)を調査し、癌治療の効果と副作用、生命予後との相関を明らかにすること、②早期胃癌患者の胃洗浄排液から胃上皮細胞を収集し、内視鏡治療前後でのDNAメチル化変異の解析も行うことで、遺残再発、異時再発のマーカーとしての臨床応用を目指すことが目的である。 ①抗EGFR抗体薬が投与された切除不能大腸癌患者から、5種類のEGRF代謝関連遺伝子のSNP解析を行った。その結果、Exon25に存在するEGFR D944DのSNPが主要な副作用である皮膚毒性の発現と有意に相関していることを発見した。この結果から、EGFR D944DのSNPを調べることで事前に副作用の有無を予測でき、個別化医療への応用が示唆された。 ②胃洗浄廃液を用いH/H-MCAMicroarray解析を行ったところ、腫瘍特異的なメチル化異常として「MINT25」および「SOX17」遺伝子の同定に成功し、各種学会においてその成果を発表するとともに、論文化した。現在、多施設共同での前向き臨床試験が終了し、解析作業中である。
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