研究課題
癌の治療において、免疫療法は特に転移抑制・再発予防といった点から非常に重要な治療法であるが、その効果はまだ十分とは言えず、新たな免疫療法の開発が望まれている。本研究課題では、樹状細胞表面に発現する種々のレクチンのうち候補分子としてMGL(Macrophage galactose-type C-type lectin/CD301)に着目し、MGLへの抗原ターゲティングによる新規抗腫瘍ワクチンを開発することを最終目標として、研究期間内にはマウスMGL1及びMGL2を対象として、抗腫瘍免疫応答を誘導するためのターゲット分子としてMGLが有用であるかを明らかにすることを具体的目標とする。本年度は、MGL1またはMGL2特異的にターゲティング可能なワクチンのデザインと作製として、MGL1特異的モノクローナル抗体及びMGL2特異的モノクローナル抗体にモデル抗原OVAを結合させた抗体の作製を完了した。また、MGL1またはMGL2特異的ターゲティングにより樹状細胞に抗原を取り込ませた後のin vitroでの免疫応答の解析として、ビオチン化MGL1特異的モノクローナル抗体またはMGL2特異的モノクローナル抗体にOVA結合抗ビオチン抗体を結合させることによりOVAを取り込ませ、OVA特異的TCRトランスジェニックマウス由来T細胞の増殖及びサイトカイン産生を解析した。その結果、MGL1及びMGL2ともに、CD4^+T細胞の効率的な活性化を誘導可能であることが示された。さらに、in vivoでのMGL1またはMGL2への特異的ターゲティングによる免疫応答を解析するため、モノクローナル抗体をアジュバントとともにマウスに皮下投与したところ、コントロール抗体に比べ投与1週間後の血清中抗ラットIgG2a抗体応答が効率的に生じることを明らかにした。
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J Biol Chem (in press)
PLoS ONE 4
ページ: e5619