多様な構造を有する新規医薬品候補化合物の開発に伴い、複数のトランスポーターに認職される化合物が増加している。これに伴い、薬物の吸収動態の予測は困難さを増し、創薬早期段階におけるより精度の高い吸収性評価法の樹立が望まれている。本年の研究では、薬物の消化管吸収・排泄に働く吸収型および排泄型トランスポーターの薬物への作用を定量的に解析し、両トランスポーター活性の相殺性を組み入れた吸収性予測法の構築に向けた基盤創りを目的とした。Oatpla5発現oocyteを用いた検討により、モデル化合物であるpravastatin及びpitavastatinがOatpla5の基質となることが示された。それらの輸送はOatp阻害剤であるnaringinにより阻害され、IC_<50>値はそれぞれ30.4μMおよび18.5μMと算出された。次に、1000μM naringinによる両薬物のラット小腸膜透過性を評価しところ、pravastatinの膜透過性はnaringinにより有意に低下したが、pitavastatinの膜透過性は有意に上昇した。経口投与後におけるAUCも同様な変動傾向が観察された。LLC-PK1/Mdrla細胞を用いた検討により、pitavastatinがP-gpの基質となることが示された。また、その輸送はnaringinにより阻害されIC_<50>値は541μMと算出された。ここで、Oatpla5およびMdrlaを介したpitavastatin輸送に対するIC_<50>値に着目した場合、200μM naringinがOatpla5のみを効率的に阻害する可能性が考えられる。実際に、pitavastatinの小腸膜透過性は、200μM naringin存在下で有意に低下し、pitavastatin吸収におけるOatpla5の関与が改めて示唆された。以上より、pravastatinおよびpitavastatinのラット消化管吸収にOatpが関与している可能性が示され、Oatpによるpitavastatin輸送がP-gpにより相殺されている可能性が示された。
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