本研究では、これまでに我々が開発してきた超音波造影と遺伝子導入を可能とする超音波造影ガス封入リポソーム(バブルリポソーム)を基本に、全身投与における低分子核酸の導入効率の向上を目的としたsiRNA搭載ナノバブルの開発を行い、その有用性を評価した。構成脂質としてカチオン性脂質を用いることで、膜表面に負電荷を有するsiRNAの搭載が可能であること、その搭載には静電的相互作用のみならず、ポリエチレングリコール(PEG)鎖が重要であることを明らかとした。さらに、血清成分存在下において、siRNAの安定性を向上させることを明らかとした。また、数種のカチオン性脂質含有バブルリポソームを調製し、超音波造影効果・導入効果・傷害性などの観点から比較検討を行うことで、核酸キャリアーとしてのみならず、造影剤としても有用な新規ナノバブル製剤の開発に成功した。また、下肢虚血モデルへ尾静脈投与したところ、疾患部位である下肢筋組織への到達性も確認できたことから、本法は血管新生療法の有用なツールになり得るものと期待される。
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