研究概要 |
ラット妊娠日齢に伴う薬物代謝酵素xanthine oxidase(XO)およびaldehyde oxidase(AO)の活性変動を検討した。加えて、出生後の生後日齢に伴うXO活性変動も検討した。妊娠14,16,20日の雌ラットを屠殺後、胎盤を摘出した。同様に生後0,1,2,3,4,5,6週齢のラットを屠殺後、肝を摘出し、Cytosol画分を作成した。その後、Cytosol画分中のXO活性及びAO活性を測定した。なお、XO活性は、1-methylxanthineの酸化活性にて、AO活性は、N1-methynicotinamideの酸化活性にて評価した。ヒトにおいては、妊娠42週目の胎盤を購入し、AO活性を測定した。タンパクあたりの胎盤XOおよびAO活性を認めたものの、各妊娠日齢に伴う活性差は認めなかった。また、種の異なるヒトにおいて、胎盤中AO活性の有無を検討したところ、その活性を認めた。妊娠中は急激な胎盤重量の増加が認められることを考慮すると、組織あたりの活性は変動していると考えられる。従って、胎盤を通して、胎児に医薬品を投与する場合は胎盤中のAO活性を考慮する必要がある。出生後の新生仔に関して検討を行った結果、XO活性は生後日数に伴いその活性の上昇が認められ、4週齢にて成獣と同等の活性を示し、AOと同様の活性変動を示した。また、これら酵素活性とそれらタンパク発現量の間には相関が認められ、発育に伴うXO活性変動は、タンパク発現により制御されている可能性が示唆された。これらの結果より、XOもAO同様に成長を考慮した医薬品投与設計が必要と考えられる。
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