これまでに、膜小胞の繋留と融合を制御するSNARE蛋白質に注目し、骨格筋に発現するアイソフォームについて網羅的な検討を行ってきた。SNARE蛋白質のうちVAMPファミリーに属するVAMP5は、筋特異的なアイソフォームといわれている。しかしながら、mRNAを検出した報告しかなく、生体内におけるVAMP5蛋白質の発現と分布は、全く知られていない。そこで、抗体をもちいて組織染色などの解析を行った。 正常マウス骨格筋では、VAMP5は、成熟した骨格筋細胞に発現した。出生直後の未成熟な骨格筋には、発現しなかった。カルジオトキシンによる筋障害後の筋再生過程においても、VAMP5は、幼若な骨格筋細胞には発現せず、再生がすすんだ骨格筋細胞に発現した。さらに、培養筋芽細胞をもちいて筋分化過程でのVAMP5の発現も、筋分化が進むにつれ、増加した。よって、VAMP5は、骨格筋の成熟に伴い発現する蛋白質であることが分かった。次に、成熟骨格筋について詳しく調べた。VAMP5のシグナルは、骨格筋細胞によって強弱があった。VAMP5とミオシン重鎖との二重染色により、骨格筋細胞を速筋線維と遅筋線維に分類し、VAMP5の発現と比較しところ、VAMP5は、速筋線維に多く発現することが分かった。 以上より、VAMP5は成熟した速筋線維に多く発現することが分かったが、その意義については不明である。今後、培養細胞などをもちいて、検討する予定である。
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