本研究では細胞極性関連遺伝子aPKCとDaam1の単独またはダブルでのコンディショナル・ノックアウトを、発生過程および初代組織培養下で行い、その表現型を解析することで組織構築の根幹をなす細胞極性制御機構の相互作用を解明する。 本研究ではaPKC(1細胞)とDaam1(細胞集団)の2種類の細胞極性関連遺伝子のコンディショナル・ノックアウトマウスを用いて、マウスの初期発生過程での表現型解析、上皮の初代培養系における解析、を同時進行で行っている。本研究の目的のために、薬剤(タモキシフェン)誘導下で遺伝子ノックアウト出来る実験系を構築した。目的の遺伝子型の動物が作出され次第、順次実験のための掛け合わせを行い、得られた動物を用いて解析を行う。 発生過程における表現型の解析は、妊娠させた雌にタモキシフェンを投与することにより遺伝子組み換えを勝発し、その効果を形態学的に解析する。また、成獣よマウスより上皮細胞を初代培養により採取し、培養下でタモキシフェンを添加することにより遺伝子組み換えを誘発し、細胞極性の有無を解析する。細胞極性異常の判定は、1. 細胞分裂方向、2. 核に対する中心体の位置、3. ゴルジ装置や線毛などの細胞内小器官の配置、4. 細胞接着構造の配向性などを指標として行っている。 また、本研究では形態学的な解析が中心となるが、遺伝学的な相互作用も同時に進行させる。
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