研究課題
本研究の目的は、発生学において時々刻々変化する胎児の形態解析を、EFIC法という極めて解像度の高い三次元立体画像を描出することのできる新しい方法を用いて行うものである。本年度の実績は以下の通りである。1.EFICシステムはマイクロトーム、蛍光顕微鏡、デジタルカメラ、画像解析ソフトウェア、コンピューターシステムを統合したものであるが、昨年度完成したシステムの改良を行った。現在のパラフィンを用いるシステムから、高温の過程を省略できるレジン包埋の系を用いた撮像法を試み、明瞭な画像を得ることに成功した。2.ヒト胚子の形態解析をするにあたり、EFIC法での観察が有用な表面正常内部異常胚のスクリーニングを開始した。まず、中枢神経系について脳神経管の二次元・三次元構造について解析した。脳神経管を前脳、中脳、菱脳に区分しその長さや体積について詳細に検討した。カーネギー発生段階16から23の間で側脳室の体積は大きく増加し、特に発生段階20から23の間が著明であることが初めて明らかとなった。以上により、胚子期の脳神経管の発生を正確に定量化することができた。また、腹腔内最大の器官である肝臓についても、形態の変化について三次元的に詳細に観察を行った。その結果、周辺器官との関係および容積の変化について新たな知見を得た。これらのデータは、妊娠初期の胎児診断における重要な基礎的データとなり、他では得ることのできない重要なものである。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件)
Developmental Dynamics
巻: 239 ページ: 1585-95
IEICE Technical Report
巻: 110 ページ: 71-76
Birth Defects Res B Dev Reprod Toxicol.
巻: 89 ページ: 213-222
Human Molecular Genetics
巻: 19 ページ: 1286-301
Fetal diagnosis and therapy.
巻: (In press)