研究課題
本研究の目的は、発生学において時々刻々変化する胎児の形態解析を、これまでに撮像した核磁気共鳴法(MR)画像データおよびEFIC法という極めて解像度の高い三次元立体画像を描出することのできる新しい方法を用いて行うものである。本年度の実績は以下の通りである。1.EFICシステムを用いて、カーネギー発生段階13~23の胚子については撮像を完了し、解析へと進んでいる。2.ヒト胚子の形態解析をするにあたり、EFIC法での観察が有用な表面正常内部異常胚のスクリーニングをこれまでに撮像したMRデータ1200例を用いて行った。昨年行った中枢神経系のスクリーニングに続き、腹部内臓のスクリーニングを行った。まず、腹腔内最大の器官である肝臓について、形態の時系列的変化を三次元的に詳細に観察を行った。その結果、周辺器官との関係および容積の変化について新たな知見を得た。肝臓の体積が指数関数的に増加すること、肝臓の成長する空間的方向性がカーネギー発生段階14~17、17~19、19~23でその特徴を変えること、などが明らかとなった。また、外形正常とされる胚標本から、容積の異常が検出され、高解像度撮影に供する候補とした。3.これまでに得られた所見について、論文発表を行った他、書籍を刊行し公表することができた。これらのデータは、妊娠初期の胎児診断における重要な基礎的データとなり、他では得ることのできない重要なものである。
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