機能未知細胞質構造であるstigmoid body (STB)とステロイド受容体の相互作用を明らかにするために、STBを誘導形成することができるHAP1遺伝子導入細胞を用いてスクリーニングを行った。その結果、HAP1/STBはアンドロゲン受容体(AR)とグルココルチコイド受容体(GR)とCOS7細胞内で相互作用することが明らかになり、さらに、GSTプルダウンアッセイにより、ARとGRのリガンド結合ドメインとHAP1のN末端領域が直接結合することが示された。また、エストロゲン受容体やミネラルコルチコイド受容体に関しては、これらの全長とHAP1/STBの共局在は認められなかったが、リガンド結合ドメインのみのmutantsを発現させた場合に共局在が観察された。つまり、ステロイド受容体のリガンド結合ドメインが本来的にHAP1/STBとの相互作用に重要であると考えられた。加えて、HAP1/STBとAR及びGRの共局在は、プロテアソーム阻害剤であるMG132の添加により顕著に強化された。また、MG132非存在下では、リガンド刺激によりAR、GRはHAP1/STBと解離し直ちに核内移行するが、MG132存在下においては、リガンド刺激を行ってもAR、GRはHAP1/STBとは解離せず、核内移行が抑制されていることが分かった。ユビキチン-プロテアソームシステムがHAP1/STBとGR/ARの相互作用とGR/ARの核内移行の制御に関与していることが示唆された。
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