研究課題
胃酸分泌に与る胃底腺壁細胞が生理的条件の変化に応じて示す著明な膜動態と形態変化については近年の研究進展によって新たな重要課題が生まれ、その解明は消化機構の研究基盤提出はもとより、臨床における胃粘膜傷害の予防や治療に繋がるものと期待されている本研究は独自に開発したラット単離胃粘膜実験モデルの応用研究によって新規確立された胃酸分泌後復帰過程を再現する実験モデルをもとに、摂食後の胃酸分泌活動期から次の食餌に備えて休止期に戻る際にプロトンポンプがどのようにして再配備されるかという未解明かつ重要な医学・生物学的研究課題に取り組むものである。今年度、ラット単離胃粘膜「酸分泌後復帰過程」実験モデルをもとに詳細な超微形態観察と免疫組織化学的検索を実施した結果、オートファゴソーム形成に与る特異蛋白であるLC3陽性の多重膜構造が酸分泌後復帰過程にある壁細胞に多数観察され、酸分泌の役目を終えたプロトンポンプの回収・処理にオートファジーが関与することが示唆された。また復帰過程の進行に伴う細胞膜動態の定量化を目的とした画像解析を実施した結果、1)活動期から休止期に移行するにつれて頂上膜が著減する、2)細胞内に取り込んだ頂上膜を処理するエンドソーム/ライソゾームやMultivesicular bodyが増加する、3)プロトンポンプを有する細管小胞が貯留して次の酸分泌に備える、といった経過が定量形態学的に明らかとなった。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Biol Pharm Bull
巻: (in press)
Parasitol Int
巻: 60 ページ: 75-83