研究概要 |
一次繊毛は細胞表面から突出する細胞内小器官であるが、そこには650種以上もの蛋白が局在する。Invは内臓逆位とともに嚢胞腎を発症するinvマウスの責任遺伝子産物であり、人では2型若年性ネフロン癆(NPHP2)の責任遺伝子でもある。Inv蛋白は繊毛基部領域「Inv compartment」に局在する。細胞質から繊毛への蛋白輸送はintra-flagella transport (IFT)が担っているが、繊毛内での蛋白局在制御機構については未解明である。本年度の研究で、Invが他のネフロン癆蛋白(Nphp3・Nphp9/Nek8)の繊毛内局在を制御することを見出した。以下に結果を記載する。 Nphp3・Nek8は繊毛基部に局在し、その局在はInv compartmentと完全に一致した。Inv欠失細胞ではNphp3・Nek8のInv compartment集積が失われたが、全長Inv遺伝子(1-1062)を再導入すると集積は回復した。Inv蛋白のC末端領域(742-1062)はcompartmentへ集積するが、Nphp3・Nek8のcompartment集積を回復させることが出来なかった。以上の結果より、InvがNphp3・Nek8の繊毛内局在を制御していることが示唆された。 本成果を雑誌論文としてCytoskeleton (Hoboken). 2010 Feb ; 67(2) : 112-9.および細胞工学Vol.28, No.10, 1021-1026, 2009.で発表した。また、Society for Developmental Biology 68th Annual Meeting, Hyatt Regency, San Francisco, CA, July 23-27, 2009および第115回解剖学会全国学術集会2010年3月(岩手)において学会発表を行った。
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