Six1/Six4二重欠損マウスにおけるRB様細胞の解析 Six1/Six4二重欠損マウス胚では、神経管内に異所的に知覚神経様の細胞が出現する。その細胞では、魚類や両生類の幼生期神経管内に生じる一次知覚神経細胞(RB細胞)のマーカーであるTlx3やKv1.1が陽性であった。また、逆行性トレーサーによる標識実験から、その細胞が神経管の中から外に神経突起を伸ばしていることが明らかとなった。さらに、cre-loxシステムを用いた解析から、その細胞が神経堤細胞由来であることが強く示唆された。 Six1/Six4二重欠損マウスの表現型回復実験 マウス胚体幹部において、Six遺伝子は神経堤細胞のみならず間充織や筋肉にも発現が認められる。神経管内に異所的に生じた細胞が、神経堤細胞そのものに発現しているSix遺伝子の欠損によるものなのか否かを明らかにするため、Six1/Six4二重欠損マウスにおいて神経堤細胞特異的にSix1を強制発現させ、表現型の回復を試みた。結果、異所的に生じた細胞が有意に減少したことから、正常発生においては、神経堤細胞に発現しているSix1が神経管内に一次知覚神経を生じさせることを阻害していることが示唆された。 両生類一次知覚神経細胞におけるSix遺伝子発現の解析及び過剩発現の影響 両生類アフリカツメガエル胚のRB細胞や脊髄神経節神経細胞におけるSix遺伝子の発現を詳細に観察した。RB細胞ではその発生の後期、細胞死に先行してSix1が発現するが、脊髄神経節では哺乳類や鳥類と同様にその発生初期からSix1を発現していた。そこで、アフリカツメガエル胚の予定一次知覚神経領域に本来の発現開始時期よりも早くSix1を強制発現させたところ、RB細胞の発生プログラムを阻害し、同時に脊髄神経節様の神経細胞を本来の発生よりも早期に生じさせた。
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