リソゾームプロテアーゼの一種のカテプシンDの欠損マウスは、神経性セロイドリポフスチン蓄積症(NCL)の1型CLN10のモデルマウスである。蓄積物であるgranular osmiophilic deposits(GROD)は、カテプシンDが欠損するためにリソゾームに分解されずに残った基質が蓄積する結果生じる構造物と考えられており、リソゾームと同じ一重の限界膜を持つ構造物と考えられてきた。しかし、私たちはGRODそのものがしばしばオートファゴソーム様の二重膜で取り囲まれていることに気付いた。中枢神経系特異的Atg7ノックアウトマウスとカテプシンD欠損マウスとのダブルノックアウトマウスを作成して解析した結果、同マウスはカテプシンD単独欠損マウスと同様の生存期間を有し、神経細胞には、GROD自身は依然存在するが、やはりそのGRODを隔離するように特殊な二重膜が不完全に取り囲み、その膜自身は粗面小胞体と連続していることが分かった。このような膜構造物は通常の条件下では観察されない性状のものであり、オートファゴソームの膜の起源を検証する上で重要な構造物であると考えている。これらの本態を更に検証すべく、最近私達の教室で作成した哺乳類のオートファゴソームの形成に必須な唯一の膜タンパク質であるAtg9aに対する抗体を用いて形態学的な解析を行っている。DFCP1については、既存の業者の抗体は組織化学的解析に用いることが出来ないことが分かった。現在DFCPIに対する特異抗体作成に向けて準備を進めている。
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