本申請研究はVSOPチャネルの細胞内会合ドメインの結晶構造を解析し、構造情報を基にした変異を導入した会合ドメインタシパク、および変異VSOPチャネルの、生化学的性質の解析・電気生理学的機能解析を行い、両者の相関を解析する。また、VSOPの細胞内会合コイルドコイル領域を他のコイルドコイルに置換したチャネルをデザインし、チャネル活性を人工的にコントロールすることを試みる。本年度(H22年度)は、細胞内領域を温度閾値の上昇したコイルドコイルに置換したチャネルを作成し、温度閥値の上昇を電気生理学的に観察し、人工的に活性をコントロール出来るチャネルの作成に成功した。また、マウスVSOP細胞内会合領域を酸化及び還元状態にて結晶を作成し構造決定することに成功した。併せて生化学的性質の解析を行い、細胞内会合領域は酸化還元に応答して会合安定性が変化することを示した。また膜貫通領域と細胞内領域をつなぐリンカー領域の二次構造解析を行い、ヘリックス構造を呈することを示した。電気生理学的機能解析から2量体に会合することでチャネルが協調してゲーティングしていることを示し、さらに変異体チャネルを解析することでリンカー領域の剛・柔軟性に対応してゲーティングの協調度合いが変化することを示した。以上の解析から、VSOPチャネルは膜貫通領域から細胞内コイルドコイル領域までひとつながりのヘリックスとなっており、それ故、コイルドコイルの会合安定性情報がゲートに伝達され、熱や酸化還元によるゲーティングの修飾が起こることを明らかとした。
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