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2010 年度 実績報告書

細胞の枠を超えて機能する新たな小胞体ストレス応答経路の発見

研究課題

研究課題/領域番号 21790218
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

岩脇 隆夫  独立行政法人理化学研究所, 中野生体膜研究室, 客員主管研究員 (50342754)

キーワード小胞体ストレス応答 / 糖尿病 / インスリン / 膵臓 / 抗体産生 / 動脈硬化 / RNA / タンパク質品質管理
研究概要

本研究の目的は、これまで細胞内レベルで解析されてきた小胞体ストレス応答を新たな視点(特に動物個体レベル)で解析することにより、小胞体ストレス応答の新たな機能を発見することである。
そこで本年度はIRE1alpha(小胞体ストレスセンサー分子)の条件的破壊マウスを用いて膵臓と免疫機能における小胞体ストレス応答の生体機能の解明に迫った。得られた研究成果としてIRE1alphaの欠損マウスは低体重、高血糖、低インスリン血漿の傾向を引き起こすことを明らかにし、膵臓ランゲルハンス島β細胞での重要性を示した。一方で、これら膵臓内分泌組織に対してだけでなく膵臓腺房組織(消化酵素などの外分泌組織)に対しても重要な機能があるようで、IRE1alphaの欠損マウスでは膵臓腺房組織での海綿状病変が観察された。また抗体産生細胞であるB細胞においてもIRE1alphaは重要な機能を有しており、その欠損マウスでは免疫グロブリンの産生能が低下することも明らかにした。
加えてIRE1alphaの新規標的分子のスクリーニングにも取り組み、8つの新たな分子を発見し、IRE1alphaの標的RNA認識機構の一端を解明した。
熊本大学との共同研究では生体イメージング技術により抹消マクロファージにおける小胞体ストレスを捉えることに成功し、動脈硬化性血栓剥離にかかわるCHOP(小胞体ストレス性アポトーシス誘導因子)の機能解明に貢献した。
これらの研究を通じて、基礎的な細胞生物学の中だけではなく、医学的な側面でも小胞体ストレスを重要視できる貴重なデータを得た。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] IRE1alpha disruption causes histological abnormality of exocrine tissues, increase of blood glucose level, and decrease of serum immunoglobulin level.2010

    • 著者名/発表者名
      Takao Iwawaki
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 5 ページ: E13052(1-11)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The endoplasmic reticulum stress-CHOP pathway-mediated apoptosis in macrophages contributes to the instability of atherosclerotic plaques.2010

    • 著者名/発表者名
      Hirato Tsukano
    • 雑誌名

      Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.

      巻: 30 ページ: 1925-1932

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of a consensus element recognized and cleaved by IRE1alpha2010

    • 著者名/発表者名
      Daiske Oikawa
    • 雑誌名

      Nucleic Acid Res.

      巻: 38 ページ: 1066-1070

    • 査読あり
  • [学会発表] 血糖値調節およびインスリン生合成における小胞体ストレス応答の役割2010

    • 著者名/発表者名
      岩脇隆夫、細田章、赤井良子、徳田美緒
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会・第83回日本生化学会合同年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2010-12-10
  • [学会発表] 膵臓β細胞でのインスリン産生におけるIRE1とATF6の役割2010

    • 著者名/発表者名
      藤岡洋美、土屋雄一、斉藤美知子、岩脇隆夫、森和俊、河野憲二
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会・第83回日本生化学会合同年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2010-12-10
  • [学会発表] 血糖値調節およびインスリン生合成における小胞体ストレス応答の役割2010

    • 著者名/発表者名
      岩脇隆夫
    • 学会等名
      第5回臨床ストレス応答学会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      2010-11-19
  • [学会発表] The role of ER stress responses in the control of blood glucose levels and the biosynthesis of insulin2010

    • 著者名/発表者名
      Takao Iwawaki
    • 学会等名
      The 3rd International Symposium on Protein Community
    • 発表場所
      Nara
    • 年月日
      2010-09-13

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公開日: 2012-07-19  

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