研究課題
本研究では、暑熱環境下における起立耐性に対する下肢の血液貯留の影響について検討するため、暑熱負荷時の静脈コンプライアンス、血管外への漏出量、および下肢陰圧負荷時の下腿容積変化ならびに皮膚血流量反応を検討した。被験者は、若年女性を対象とし、水循環スーツによって体温を制御した。少なくとも2カ月以上の基礎体温を測定し、それに基づいて卵胞期と黄体期を判断した。暑熱負荷前の皮膚温度は34℃に制御し、高温水の循環によって鼓膜温が1.0℃上昇させた後、水温および水量を制御して、その鼓膜温のレベルを維持した。静脈コンプライアンス、血管外への漏出量、および下肢陰圧負荷時の下肢容積変化ならびに皮膚血流量反応は、加温前後でそれぞれ測定した。鼓膜温の上昇は、高温期の方が上昇しにくく、同じ1℃上昇させるにも10分ほど加温時間が延長した。静脈コンプライアンスと血管外への漏出量は高温期に低温期よりも高値を示した。皮膚血流量は標準化していないために、周期間比較はできないが、暑熱負荷によって、いずれの周期においても4-5倍近く上昇した。静脈コンプライアンス、血管外への漏出量、および下肢陰圧負荷時の下肢容積変化は、暑熱負荷後の方が低値を示した。下肢陰圧負荷は20mmHgを15分間負荷したが、高温期においては失神の兆候を示す被験者が多くみられた。また、その兆候を示した被験者の下肢陰圧時の下腿容積変化は達成者と比較して特徴的な変化が確認された。今後さらに詳細な検討を加える必要がある。
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