研究概要 |
エンドセリンA型受容体(ET_AR)を介した受容体作動性Ca^<2+>流入に関与するTRPCチャネルを同定するため、ET_ARとTRPCチャネルを安定的に共発現するHEK293細胞(ET_AR+TRPC-HEK)をレトロウィルスを用いて作製し、蛍光性Ca^<2+>指示薬を用いた細胞内Ca^<2+>濃度測定実験を行った。その結果、TRPC3,5,6,7が、ET_AR作動性Ca^<2+>チャネルとして機能することを見出した。このうち、TRPC3及びTRPC6を介したET_AR作動性Ca^<2+>流入の分子機構について詳細な解析を行ったところ、ET_AR刺激により誘発されるTRPC3及びTRPC6を介した受容体作動性Ca^<2+>流入に、G_qタンパク質、ホスホリパーゼC、ホスファチジルイノシトール3リン酸キナーゼ、Src、カルモジュリン、ミオシン軽鎖キナーゼといったシグナル分子が関与していることが明らかになった。また、TRPC3及びTRPC6の細胞内C末端に存在するカルモジュリン/IP_3受容体結合部位を欠損する変異体を用いた解析から、TRPC3及びTRPC6を介したET_AR作動性Ca^<2+>流入とTRPC3及びTRPC6の細胞内局在を制御する上で、カルモジュリン/IP_3受容体結合部位が重要な役割を担っていることが示唆された。さらに、TRPC3及びTRPC6を介したET_AR作動性Ca^<2+>流入を制御する新たなメカニズムを解明するために、細胞内Ca^<2+>ハンドリングに関与することが知られているSTIM1、ORAI1、TRISKを単離し、これらの分子とET_AR、TRPCを安定的に共発現するHEK293細胞の作製に成功した。
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