研究概要 |
[1]各種網膜色素変性症(RP)モデルマウスで見られる視細胞死の機序解明 Pde6aに変異を持つRPモデルマウス2種およびPde6bに変異を持つRPモデルマウス1種を米国より輸入した.来年度の実験に供するため,繁殖及び動物のSPF化を行っているところである.現在のところ1系統のSPF化が終了しており,今後残りの系統のSPF化を続けて行う予定である.また,SPF化の完了した系統を用いた実験を開始する予定である. [2]候補化合物がRPモデルマウスの視細胞死に与える影響 申請者が見いだしたRPマウスモデルは,上記[1]に述べたように現在SPF化を行っているため,それまでの間に実験技術を確立するために,市販のRPマウスモデルであるC3H/HeJを用いて実験を行った.生後7日から21日にかけて,薬物を毎日投与し,眼球を摘出した.固定後,パラフィン包埋し,薄切組織切片を作成した.視細胞の脱落はHE染色を行った切片で評価した.薬物を投与した群と溶媒を投与した群とを比較し,投与した薬物に視細胞保護作用があるかどうかを組織学的かつ機能的に検討した.Ca^<2+>チャネルブロッカーのシルニジピンやニルバジピン,あるいは抗アルツハイマー病薬のドネペジルは,NMDAにより惹起した網膜傷害モデルラットや網膜虚血・再灌流モデルラットにおいては視神経保護作用を示したものの,C3H/HeJの視細胞脱落には顕著な影響を与えなかった.今後は[1]に述べた動物のSPF化が完了次第,これらのモデルマウスを用いた実験を開始する予定である.
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