研究概要 |
[1]各種網膜色素変性症(RP)モデルマウスで見られる視細胞死の機序解明 Pde6aに変異を持つRPモデルマウス2種およびPde6bに変異を持つRPモデルマウス1種を昨年度米国より輸入した.現在のところ1系統のSPF化が終了しているが,実験動物施設の都合により残りの系統のSPF化が遅れている.SPF化の完了した系統を用いた実験はすでに開始しており,準備ができ次第,残りの系統のSPF化を進め,その後実験を行っていく予定である. [2]候補化合物がRPモデルマウスの視細胞死に与える影響 Pde6aに変異を持つRPモデルマウスの1つであるnmf363のSPF化が完了したため,いくつかの化合物が本モデルマウスで認められる視細胞死に与える影響を検討した.生後16日から26日にかけて,薬物を飲水に混和して投与し,生後26日目に,視機能を評価するために網膜電図を測定した後に,眼球を摘出した.固定後,パラフィン包埋し,薄切組織切片を作成した.視細胞の脱落はHE染色を行った切片で評価した.薬物を投与した群と溶媒を投与した群とを比較し,投与した薬物に視細胞保護作用があるかどうかを組織学的かつ機能的に検討した.その結果NADPHオキシダーゼ阻害薬であるアポシニン(20mg/kg/day)を飲水に混和して投与すると,nmf363で認められる錐体細胞死が組織学的に有意に抑制され,網膜電図を用いた機能的評価においても,nmf363で認められる明順応網膜電図の消失を抑制することが明らかとなった.今後,さらにアポシニンの作用機序に加えて,nmf363で認められる錐体細胞死の機序を検討していく予定である.
|