研究概要 |
本研究では、機能未知の生体膜構成成分であるホスファチジルイノシトール3,4-二リン酸[PI(3,4)P2]の脱リン酸化/分解酵素がもつ、生理的・病態生理的な役割を明らかにする。具体的には、PI(3,4)P2分解酵素と、申請者が独自に見出しているPI(3,4)P2分解酵素の結合分子との相互作用解析を通して、これまで全く知られていなかった"イノシトールリン脂質代謝によるNALP3インフラマソームの制御"を解明することを目的としている。 PI(3,4)P2分解酵素欠損マウスの骨髄由来マクロファージを用いて、尿酸結晶塩やATP刺激によるIL-1βの産生を測定した。その結果、ATP刺激によりIL-1βの産生はコントロールよりも上昇したが、尿酸結晶塩刺激に対しては差が認められなかった。また、PI(3,4)P2分解酵素の結合分子は、その他のイノシトールリン脂質代謝酵素とも相互作用を示し、PI(3,4)P2分解酵素特異的に結合するわけではなかった。従って、PI(3,4)P2分解酵素はNALP3インフラマソームを制御しているのではなく、ATPによるIL-1βの産生を制御しているものと考えられる。
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