研究課題
悪性腫瘍の9割は上皮組織に由来する。すなわち上皮細胞形成・維持機構の研究は、癌化の分子機構解析にも結びつくものである。本研究では、癌化の初期における上皮多層化現象が、重層上皮組織(皮膚表皮等)形成の分子機構と類似している点に着目し、両現象に共通に発現する重層上皮特異的分子群の機能解析から得られる知見と、癌における発現状況の情報を統合し、重層上皮組織と癌細胞における生理機能の共通性の解明を行う。その上で、癌に対する新規早期診断薬・新規創薬標的の同定へと結びつける。昨年度までの研究で、SASPase mRNAは、APCmin/+マウスの大腸癌ポリープに強く転写されている事が明らかとなった。本年度は、SASPase蛋白質がマウス大腸癌組織のどのような部位やステージで発現しているのかを解析した。APCmin/+マウスの成体雌(10-15週令)、及びDextran Sulfate Sodium (DSS)を経口投与(大腸癌形成モデル)したAPCmin/+マウスの大腸組織から、パラフィン切片を作製し、抗SASPase抗体を用いて免疫組織化学染色解析を行った。その結果、SASPaseは、通常APCmin/+大腸ポリープ形成初期、及びDSS投与による大腸癌形成時のいずれの状態においても、Aberrant cryptの発生初期と考えられる、核の形態に異常が認められる一つのCryptユニットから発現が開始されている事が明らかとなった。更にSASPaseの発現がAberrant Cryptの発生に関わるのかどうかを、SASPase欠損マウスとAPCmin/+マウスとを交配することによって解析中である。また同じく早期癌から発現することが本研究課題で明らかになっている重層上皮特異的蛋白質Dermokineとの発現部位やステージの相関性についても解析を行っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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