Notch受容体の上皮成長因子(EGF)ドメイン上には、特異的なO-結合型糖鎖が存在しており、その機能に重要な役割を果たしている。これまでの研究で、O-結合型糖鎖の1つして、O-N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)修飾という新規の翻訳後修飾をショウジョウバエS2培養細胞において同定し、新規糖転移酵素E-OGTがその修飾に関与する可能性が示唆された。そこで、本研究課題においては、細胞外におけるO-GlcNAc修飾が進化的に保存された翻訳後修飾であるか検討するために、哺乳動物培養細胞を用いて発現させたNotch受容体の細胞外ドメインのO-GlcNAc修飾の同定を試みた。特異抗体を用いた解析結果、ショウジョウバエ同様、O-GlcNAc抗体との反応性が確認された。しかしながら、単糖ではなく、オリゴ糖としてO-GlcNAc型糖鎖が存在する可能性も十分考えられるため、引き続き検討している。また、E-OGTをHEK293細胞にトランスフェクトし、タグを用いて組み換えタンパク質を精製した。過去に報告したアッセイ条件を用いて、E-OGTの酵素活性をNotch受容体由来の20番目のEGFドメイン(EGF20)を受容基質として用いて測定したところ、UDP-GlcNAcに特異的な酵素活性を示した。今後、様々な糖供与体やEGF20以外の異なるEGFドメインを用いた基質特異性の解析や、酵素反応産物の解析を進めていく予定である。
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