研究概要 |
本研究では、新規に樹立した生物細胞内からのmRNA-protein (mRNP)複合体の分離精製技術と新たに導入する体細胞での遺伝子ノックインシステムを組み合わせることで、細胞内在性サイトカインmRNPの転写後動態を生化学的、細胞生物学的に解析し明らかとすることを目的とする。またmRNA精製タグのノックインと同時にルシフェラーゼもしくはGFPをサイトカイン遺伝子のタンパク質コード領域に導入し、mRNAの翻訳効率および翻訳産物の安定性をモニターするための細胞株を樹立する。この細胞株は、全く新しい概念のサイトカインの発現制御薬の高効率スクリーニングシステムともなることも期待される。 平成21年度は、以下の解析を行った。 a) アデノ随伴ウィルスベクターを用いた体細胞での遺伝子ノックインによるBoxB配列およびLuciferase/GFPの挿入システムの確立 モデルシステムとして使用するVEGF, IL6, IL5, IFNbeta, IFNgamma遺伝子のノックイン用領域(終止コドン周辺2-2.5kbp)をHCT116細胞より取得したgenomic DNAをテンプレートにPCRにより増幅、クローニングした。現在、ノックインベクターの構築を進めている。 b) レンチウィルスベクターを用いたゲノム中に1コピーのFlp recombination target (FRT) siteを持つ培養細胞樹立システムの確立 アデノ随伴ウィルスを用いた遺伝子ノックインが期待通りに進まない可能性を考慮し、BoxBおよびLuciferase/GFPで標識した発現誘導型プロモーターにより転写されるサイトカイン遺伝子を発現する細胞株を樹立する。このため、数十kbpの遺伝子の導入が可能なFRT siteを1コピー持つHeLa Tet Off, HeLa Tet On Advanced, HCT116細胞を作成した。
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