研究概要 |
本研究では、新規に樹立した動物細胞内からのmRNA-protein(mRNP)複合体の分離精製技術と新たに導入する体細胞での遺伝子ノックインシステムを組み合わせることで、細胞内在性サイトカインmRNPの転写後動態を生化学的、細胞生物学的に解析し明らかとすることを目的とする。またmRNA精製タグのノックインと同時にルシフェラーゼもしくはGFPをサイトカイン遺伝子のタンパク質コード領域に導入し、mRNAの翻訳効率および翻訳産物の安定性をモニターするための細胞株を樹立する。この細胞株は、全く新しい概念のサイトカインの発現制御薬の高効率スクリーニングシステムともなることも期待される。 平成22年度は、以下の解析を行った。 a)アデノ随伴ウィルスベクターを用いた体細胞での遺伝子ノックインによるBoxB配列およびLUciferase/GFPの挿入システムの確立 HCT116細胞ゆらいのgenomic DNAをテンプレートにPCRにより増幅しクローニングしよたモデルシステムとして使用するIFNbeta遺伝子のノックイン用領域(終止コドン周辺2-2.5kbp)をとBoxB配列を用い、ノックインベクターを構築した。 b)レンチウィルスベクターを用いたゲノム中に1コピーのFlp recombination target(FRT)siteを持つ培養細胞樹立システムの確立 アデノ随伴ウィルスを用いた遺伝子ノックインが期待通りに進まない可能性を考慮し、BoxBおよびLuciferase/GFPで標識した発現誘導型プロモーターにより転写されるサイトカイン遺伝子を発現する細胞株を樹立する。このため、数十kbpの遺伝子の導入が可能なFRT siteを1コピー持つ気道上皮由来細胞株BEAS-2B TetOff FRT細胞株を樹立した。また、BoxB配列を含む・含まないIL-6,IFNbeta,IL28B,IL-5遺伝子全体をpTRETight-FRTベクターに導入した。現在、BEAS-2B細胞を用いた安定発現株の構築を進めている。
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