研究課題
FOXN1は毛形成に不可欠な転写因子であり、FOXN1を先天的に機能欠損したヌードマウスでは正常な毛髪形成が見られなく外見上、無毛となる。申請者らは最近、イノシトールリン脂質代謝系の要となる酵素であるホスホリパーゼCの一つであるPLCδ1がFOXN1依存的な毛形成に必須な酵素であることを明らかにしてきた。また、毛形成にはPLCδ1とFOXN1の両方が必要不可欠であることも判明した。これらの結果は、PLCδ1が直接的に毛髪形成を制御するのではなく、細胞内に毛髪形成に適した発毛環境を作り出すことにより補助的にFOXN1による毛髪形成を促進していることを強く示唆するものである。そこで、本研究では、発毛促進因子のシグナルを毛形成へと効率的に伝達することができるような細胞内発毛環境の分子的特定を行うことを全体構想とする。具体的にはFOXN1が毛髪形成を効率的に誘導できる環境をいかにしてPLCδ1が細胞内に創出するのかを明らかにすることを本研究の目的としている。FOXN1の下流の毛形成制御分子としてNotchが知られている。平成21年度中の研究により、PLCδ1が毛形成時のFOXN1依存的なNotchやその下流因子の発現誘導に必須であることを明らかにすることができた。この結果は、PLCδ1がFOXN1の下流でどのような分子メカニズムを介して毛形成を制御しているのかについての重要な知見を与えるものであり、意義深いものであると考えられる。
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