ヒト羊膜由来細胞をin vitroにおいて培養、増殖させた後、臍帯血由来CD34陽性細胞と共に半致死量放射線照射したNOD/SCIDマウスに移植を行い、移植後16週後に末梢血、骨髄、脾臓を採取し、ヒトCD45陽性細胞の存在の有無とその割合を解析した。その結果、羊膜に由来する細胞をCD34陽性細胞と同時に移植した群において、ヒト血液細胞の生着が認められたマウスの割合が、CD34陽性細胞を単独で移植した場合に比べて上昇することが明らかとなった。しかしながら、ヒト血液細胞の生着が確認されたマウス間においては、羊膜細胞の移植の有無に関わらずヒト血液細胞の全血液細胞に占める割合に優位な差は認められなかった。このことから、ヒト羊膜細胞は同時に移植されたCD34陽性細胞のレシピエントマウスへの生着は支持するが、血液細胞の増殖には寄与していない可能性が示唆された。一方で、in vitroにおいてセルカルチャーインサートを用いてCD34陽性細胞と大量放射線照射した羊膜由来細胞を非接触共培養したところ、培養開始2週間で血液細胞の数は6~7倍にまで増加することが明らかとなった。増加した血液細胞のうち95%以上の細胞はCD33を発現する骨髄球系の細胞であった。CD34陽性細胞も数%存在していたが、それらの細胞は全てCD33を発現しており、羊膜由来細胞との共培養によって骨髄球系前駆細胞が増殖することが明らかになった。羊膜と同じく新生児に由来する臍帯由来細胞を用いて同様の共培養を行ったところ、羊膜由来細胞を用いた場合に比べて著しく血液細胞が増殖することが明らかになった。非接触共培養系での結果であることから、羊膜由来細胞および臍帯由来細胞は何らかのサイトカインを産生していることが強く示唆された。
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