ヒト臍帯に由来する細胞を臍帯血CD34陽性細胞と共に半致死量放射線照射した免疫不全マウスに移植し、16ヶ月後に末梢血、骨髄、脾臓中におけるヒト血液細胞の存在の有無とその割合を解析したところ、ヒト羊膜とCD34陽性細胞を移植した場合と同様、臍帯に由来する細胞をCD34陽性細胞と同時に移植した群において、ヒト血液細胞の生着が認められたマウスの割合が、CD34陽性細胞を単独で移植した場合に比べて上昇することが明らかとなった。 大量放射線照射したヒト羊膜およびヒト臍帯由来細胞とCD34陽性細胞をin vitroにおいて長期間接触共培養を行ったところ、3週目まではどちらの組織に由来する細胞との共培養においても血液細胞の著明な増加が観察されたが、ヒト臍帯由来細胞との共培養においてより顕著であった。しかしながら、4週目以降、ヒト臍帯由来細胞との共培養では血液細胞の産生が著しく低下するのに対し、ヒト羊膜由来細胞との共培養では顕著な低下は観察されなかった。共培養開始から5週目に、浮遊性細胞および付着性細胞を全て回収してコロニーアッセイを行った結果、ヒト羊膜由来細胞との共培養においてBFU-EやCFU-GMを含む多数にコロニー形成を認めたが、ヒト臍帯との共培養においては、ごく少数のマクロファージコロニーのみが観察された。 ヒト羊膜および臍帯由来細胞の産生するサイトカインを定量的に測定した結果、どちらの組織に由来する細胞もIL-6、IL-8、MCP-1、GROalpha、SCGF-betaを多量に産生していること、G-CSFはヒト臍帯由来細胞においてのみ産生されていることが明らかとなった。
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