研究概要 |
若年性パーキンソン病原因遺伝子PINK1とparkinは、それぞれプロテインキナーゼとユビキチンリガーゼをコードする。これら2つの遺伝子に遺伝的相互作用があり、ミトコンドリアの機能に必須であることが明らかにされていたが、その分子メカニズムの詳細は不明であった。本研究では、PINK1をプローブとしてプロテオミクスと遺伝学的スクリーニングを組み合わせた多面的スクリーニングにて、PINK1とParkinの間を介する分子の探索を行った。その結果、ミトコンドリアタンパク質PGAM5をPINK1下流の分子として同定することに成功した。PGAM5はPINK1シグナルの下流で、かつそのシグナルを負に制御することが示唆された。 晩発性パーキンソン病原因遺伝子LRRK2は、複数のドメインをもつキナーゼをコードする。LRRK2をプローブとして、PINK1同様プロテオミクスと遺伝学的スクリーニングを組み合わせた多面的スクリーニングにて、LRRK2シグナルに関与する分子を探索した。その結果、2つのタンパク質LBP1とLBP2を同定した。分子レベルの解析により、LBP2はLBP1を介してLRRK2に結合し、複合体を形成することが示唆された。さらにLRRK2,LBP1,LBP2はエンドソームに局在し、Notchシグナルを抑制することを見出した。これは、LRRK2,LBP1,LBP2が、エンドソーム-リソソーム経路においてNotchリガンドの輸送・分解を修飾するためであると考えられた。
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