研究概要 |
BRCA1/2について新規に結合する遺伝子産物を探索・選出し,それら候補分子のDNA損傷に対する修復効率を革新的手法によって定量化することによって,機能的に信頼度の高い結合分子を選定することを目標としている。これにより 1.DNA修復における新規分子群の同定とそれら分子間相互作用の解明 2.乳癌の診断・治療法開発における新規標的分子の発見 が可能になると期待される。 本年度は新規にBRCA2に結合していることが明らかになったnucleophosmin (NPM)とROCK2について結合部位の特定を行なった。部分配列同士を培養細胞に共発現し共免疫沈降を行なう手法により,長くともBRCA2の639-1,000アミノ酸領域がNPMとの結合部位であることを明らかにした。この領域を培養細胞に強発現すると中心体の断片化や過剰複製が引き起こされ,発癌過程に特徴的な多核細胞の出現を招いたことから,BRCA2とNPMの結合が中心体の正常な複製に重要な役割を果たしていることが示唆された。BRCA2とNPMとROCK2の三量体として複合体を形成している可能性があり,この複合体の形成異常が乳癌発癌に重要な役割を果たし得ると考えられた。
|