研究課題
研究代表者は最近、核膜孔複合体タンパク質Rae1の異常発現が、多くの癌で見いだされる染色体の異数化・多極紡錘体を引き起こすことを発見した。Rae1は核膜孔複合体を構成する約30種類のタンパク質のうちの一つであり、RNAの核から細胞質への輸送に関与しており、さらには近年Rae1が乳癌患者における最も決定的な危険因子のうちの一つであると報告されたことから、本研究ではRae1の乳癌への関与を検討することによって、癌悪性化機構を解明することを目的とした。計画1:Rae1発現トランスジェニックマウスの作製、及び癌悪性化過程におけるRae1の役割の解析。昨年度作製したGFP-Rae1発現Tgマウスは、目的タンパク質の発現が精巣のみでしか確認できなかった。そこで、Rae1を全身で発現させるため、CAGプロモーターを用いた遺伝子発現プラスミドを再構築した。CAGプロモーターの下流にloxP配列、HA融合Rae1遺伝子、IRES配列、GFP遺伝子、ポリアデニル化配列を含むDNA断片を構築し、マウスに導入してloxP-HA-Rae1 Tgマウスを得た。今後、Cre Tgマウスと交配させ、HA-Rae1 Tgマウスを得、腫瘍を形成したマウスの臓器をHE染色、免疫染色し、癌悪性化とRae1の役割を解析していく。計画2:細胞分裂周期におけるRae1との新規相互作用因子の同定・解析、及び癌悪性化におけるこれら相互作用の役割の解析。2-1)ヒト乳癌細胞MCF7を用いたFLAG-Rae1安定発現細胞株を樹立し、免疫沈降反応によってRae1の相互作用因子の同定・解析を行っている。2-2)Rae1複合体の共精製:Hisタグ融合Rae1を昆虫細胞Sf9細胞で発現させることに成功した。現在、精製したHis-Rae1と細胞抽出液を用いて、Rae1の新規相互作用因子の同定・解析中である。(論文投稿中)
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http://fsowonglab.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html