ヒトアポリポ蛋白CIIIの発現コンストラクトを作製・調整し、日本白色種ウサギ授精卵へのマイクロインジェクション実験を行った。19羽のドナーウサギから698個の卵を採取し、その内419個の雄性前核内にDNA液をマイクロインジェクションした。11羽の仮親ウサギの卵管内に358個の胚を移植したが、妊娠メスは得られなかった。そこでDNA液の再調整を行った。19羽のドナーウサギから採取した465個の卵のうち327個の核内にマイクロインジェクションを行い、10羽の仮親ウサギに269個の胚を移植した。その結果、4羽が妊娠し、16匹の新生仔ウサギを得た。これらの仔ウサギから組織片を採取し、ゲノムDNAを抽出して、PCR法により遺伝子を確認したが、ヒトアポリポ蛋白CIII遺伝子が導入された個体は得られなかった。現在のところ要する時間の短縮、遺伝子導入確率の向上を促す方法はなく、産仔を多く得ることが最も必要である。DNAの再調整により産仔が得られるようになったので、今後も同様の方法により、遺伝子組換えウサギが得られるまでマイクロインジェクションを繰り返し行う。 遺伝子組換えウサギが得られれば、血液中のapo CIII蛋白を免疫比濁法により定量する。得られたヒトヒトアポリポ蛋白CIII遺伝子組換えファウンダーウサギがオスであれば精液を採取し、複数の正常メスウサギに人工授精を行う。これにより自然交配よりも効率的にウサギ(F1)を繁殖することが可能である。得られたファウンダーウサギがメスのみであれば、日本白色種オスウサギと交配し、F1の遺伝子はオスウサギを得た後に繁殖(F2)を進める。
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