研究概要 |
IgG4関連硬化性疾患に関連していると思われる胃生検材料でのIgG1,IgG2,IgG3,IgG4までのサブクラスを免疫染色し検討した結果IgG4関連硬化性疾患群では単位面積あたりのIgG4陽性形質細胞の量が有意に高値であり、また炎症所見は他のIgG4関連硬化性疾患と同様にリンパ球形質細胞浸潤,線維化,好酸球浸潤が認められることが証明された。その炎症所見の存在する部位にも一定の特徴があることが判明した。胃全体への炎症細胞が広がっていることと、粘膜固有層全層に炎症細胞浸潤が認められることである。多くの日本人に認められるヘリコバグター・ピロリによる慢性活動性胃炎とは炎症細胞浸潤の分布や広がりが異なっていることが判明した。またステロイド治療が本疾患に有用であることは他の臓器でも証明されているが、IgG4関連硬化性疾患に関与する胃炎もステロイド治療によって軽映するかどうか不明であったが、本検討にて軽快する傾向があることが判明した。自己免疫性膵炎を含むIgG4関連硬化性疾患を疑う患者に対して比較的容易に観察、生検できる胃生検を用いて診断ができれば患者にとっては非常に有用である。今回の検討は胃生検を詳細に観察することによってIgG4関連硬化性疾患の診断ができる可能性を示唆した点に意義があると考える。また膵由来の膵上皮細胞株,膵管質細胞株へのIgGサブクラス刺激など行い、IgG4関連硬化性疾患を表現するような反応が細胞内でおこるかどうか検討を行っている。条件を変えながら反応の有無を検索しているが反応を得られていない。
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