本年度には、研究目的に挙げた項目(1)~(3)のうちで、主に(2)について研究を進めた。 Memthylglyoxal (MG)のマウス腹腔内投与を行う前に、まず、streptozotocin (STZ)投与による糖尿病発症マウスを作成し糖尿病による酸化的ストレスを加えたマウス個体での骨の検討を行った。このマウスから長管骨(大腿骨および脛骨)を採取し、組織形態学的に観察を行ったところ、同週齢の正常個体に比較して、一次海綿骨骨梁短縮・減少が観察された。また、パラフィン切片での免疫組織化学的なsecreted Frizzled-related protein 4 (sFRP-4)の発現を検索したところ、骨皮質内膜での骨芽細胞細胞質に陽性シグナルの増加を認めた。今後、酸化的ストレスマーカーである8-OHdGに対する免疫組織化学的検索を行う予定である。 この他、研究目的で挙げた項目(1)の追加検討として、MG投与下に培養した、マウス骨髄間質細胞ST2細胞を用いて、蛍光免疫染色を行い、MGによる酸化的ストレス負荷を加えた系では、これを加えない系に比較して胞体でのsFRP-4シグナルが増加する現象を認めた。今後は、更に、sFRP-4蛋白を始め、Wntシグナル(古典的経路、非古典的経路)の下流の因子の蛋白の変化について検討する予定である。 以上の成果の一部を、国内外の学会に於いて発表した。 なお、実験器具、実験系に関して、最適な実験系を整備することが出来た。
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