本研究計画においては、sFRP-4遺伝子ノックアウトマウスの全身の表現型・酸化的ストレスに対する硬組織変化の解析を行う。これまで、理化学研究所変異マウス共同開発チームとの共同研究により、sFRP-4遺伝子第1エクソンを破壊し、LacZカセットに挿入したベクターを用いてマウスES細胞に導入し、相同組み換えクローンの単離同定をサザンブロット法にて行い、このES細胞由来のキメラマウスを作成後、F1マウスの交配を経て、ノックアウトマウスの作成が終了した。まずは、natural courseでの同マウスの発育、加齢による硬組織変化を骨形態計測、μCTなどの手法で観察し、正常マウスとの比較を行った。 結果:sFRP-4遺伝子ノックアウトマウスは、正常マウスと同様の発生を示し、継代可能であった。体重の推移は、正常マウスと同様であった。また、個々の臓器重量についても、正常マウスと際立った変化は見られなかった。若年(17週齢)個体と高齢(46週齢)個体の大腿骨を用いた解析では、若年マウスでは、骨パラメータ量(骨構造に関するパラメータ(海綿骨量、骨梁幅、骨梁数など)、骨形成に関するパラメータ(類骨面、骨芽細胞面、骨石灰化面、石灰化速度、骨形成率など)、骨吸収に関するパラメータ(骨吸収面、破骨細胞数、破骨細胞面など))において、正常マウスとの間に有意差は見られなかったが、正常マウスに比較して、sFRP-4ノックアウトマウスでは、高齢マウスの骨形成パラメータは保たれることを明らかにした。
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