胞巣状軟部肉腫では特異的キメラ遺伝子ASPL-TFE3が存在しており、腫瘍発生および病態への関与が指摘されている。本研究課題では、腫瘍特異的転写因子として機能するASPL-TFE3の標的遺伝子群をDNAマイクロアレイ解析により検索した。その結果、ASPL-TFE3標的遺伝子候補群としてASPL-TFE3により発現が2倍以上増加する遺伝子736個、1/2以下に減少する遺伝子169個を単離した。ASPL-TFE3標的遺伝子候補群には代謝関連遺伝子、細胞増殖関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、細胞内シグナル伝達関連遺伝子などが含まれていた。以上より、ASPL-TFE3は細胞増殖関連遺伝子、シグナル伝達関連因子といった標的遺伝子の発現異常を引き起こすことにより胞巣状軟部肉腫の発生および病態に寄与する可能性が示唆された。
|