研究概要 |
若年胃癌数は2314例中116例で、当施設では全体の5,0%の割合を占めていた。臨床病学的特徴は、男女比は1(58):1(58)で、非若年胃癌に比して有意に女性の発症頻度が高かった。早期癌は54例,進行癌は62例であった。組織型は非若年胃癌に比して低分化型腺癌が有意に多く(92例,79.3%)。肉眼形態はBorr5型が有意に多いという結果が得られた(P<0.05)。腫瘍長径は5.1cmであった。予後については現在検索中である。116例から40例の若年胃癌を抽出し、背景粘膜の炎症をSydney分類にて比較したところ、若年胃癌は非若年胃癌に比して有意に好中球浸潤が見られ、粘膜萎縮や腸上皮化生の頻度が低いことを確認した(P<0.001)。また、若年胃癌と非若年胃癌におけるMSI(Microsatellite instability).LOH(Loss of heterozygosity)を検索・比較するために、Laser Captured microdissection法により組織ブロックから腫瘍成分、背景粘膜、コントロールとしてリンパ節組織をそれぞれ分離採取してDNAを抽出した。腫瘍成分は、腫瘍細胞と周囲間質をそれぞれ別に分離採取した。抽出したDNAを用いて、主にNCI推奨マーカー(D2S123,BAT25,D5S346,BAT26,D17S250)・17番染色体マーカーにおけるMSIおよびLOHをMultiplex PCR-Gene Scan法で検索中である。今後も引き続き、MSIとLOHの検索を行う予定である。
|