研究概要 |
近年、Sorafenibなど分子標的治療薬が開発され、肝細胞癌に対しても従来の抗癌剤より良い効果が得られたと報告されたが、分子標的治療薬は腫瘍細胞における分子レベルの作用機序がある程度分かっていても、腫瘍の浸潤・転移など複雑な生物学的現象に与える影響や機能について解明されていないところが多い。本研究では、肝細胞癌の進行症例に相当する肝細胞癌転移モデルを用いて、分子標的治療薬の機能と作用機序について検討した。In vitroで肝細胞株に対しsorafenibを投与した結果、KYN2はLi7より細胞増殖抑制効果とアポトーシル誘導が顕著にみられた。マウスモデルにおいても、KYN2はsorafenib投与による肝内転移抑制傾向が認められたが、Li7にはそのような傾向はみられない。Microarrayの結果より、KYN2はLi7よりFGFR4,LYNなどの発現が多く、western blottingでもKYN2ではこれらの分子のリン酸化がsorafenib投与により低下している結果が得られた。これらの分子は治療効果予測因子として有用性が期待できる。
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