SGSM(Small G protein Signaling Modulator)ファミリータンパクは、RABファミリーおよびRAPファミリータンパクと相互作用し、シグナル伝達および小胞輸送に関与し、パーキンソン病の原因遺伝子産物NURR1(Nuclear Receptor-related 1)と相互作用することが我々および米国の研究グループにより報告された。 SGSMファミリータンパクやその欠失変異体、RAP1AタンパクおよびRAP2Aタンパクの活性型変異体および不活性型変異体を強制発現させてから、様々な細胞内小胞輸送のマーカーを用いたエンドサイトーシスアッセイを行い、SGSMファミリータンパクが関与する細胞内小胞輸送の具体的な経路を調べた。その結果、SGSM2はクラスリン被覆小胞によるエンドソームからゴルジ装置までの細胞内逆行性輸送に関与することがわかった。さらにアフリカミドリザルのゲノムに存在するヒトSGSM2遺伝子のオルソログ遺伝子Sgsm2のエキソン配列を用いて、Sgsm2タンパクの発現を抑制するためのsiRNA配列を設計し、アフリカミドリザル由来細胞株COS7において、siRNAを用いてSgsm2タンパクの発現をノックダウンしてから、エンドサイトーシスアッセイにより、細胞内小胞輸送システムの変化を観察した。その結果、RAPタンパクの活性化型がSGSM2を介して、細胞内逆行性輸送に関与することが明らかとなった。また、Check-Mate Mammalian Two-Hybrid System (Promega社)を用いて、SGSMファミリータンパクと数種のRABファミリータンパクとの相互作用を網羅的に調べたところ、SGSMファミリータンパクごとにRABファミリータンパクに対する結合能が異なり、ある程度の特異性を示した。 以上の結果から、SGSMファミリーがドーパミンの輸送を含む小胞輸送を制御し、ドーパミンニューロンの機能に関与する可能性が示唆された。
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